【5月10日 AFP】クラシック音楽、額に入った水彩画、花器にどっさりと生けられたみずみずしい切り花――米ニューヨーク(New York)一の高級な公衆トイレにようこそ。25万4000ドル(約2900万円)をかけて改装されたこのトイレはチップ不要。利用するのにお金は一切かからない。

 内部をすっかり改装されたこのトイレが再びオープンしたのは4月下旬。5番街(Fifth Avenue)のブライアントパーク(Bryant Park)内のニューヨーク公共図書館(New York Public Library)の裏にあるボザール建築様式のこのトイレ。利用者は年間100万人以上と見込まれている。

 磁器製タイルは欧州からの輸入品。ポリエチレン製の便座カバーは手をかざすだけで回転して新しいものに交換され、エアコンで換気も行われている。有線で管弦楽曲が流れ、自動フラッシュの音もほとんど聞こえない。

 公衆トイレといえば大半は汚いところばかりだが、それとは対極にあるこのトイレの経費年間27万1000ドル(約3000万円)の内訳は、運営費と、2人1組のシフトで常にトイレをぴかぴかに保つ清掃員らの人件費。スポンサーは、この公立公園に資金提供を行っている民間団体、ブライアントパーク・コーポレーション(Bryant Park Corporation)だ。

 休暇でサンフランシスコ(San Francisco)からニューヨークを訪れた元会計士のパム・ブラウン(Pam Brown)さんは、「本当に豪華!」と驚きの声を上げた。

 トイレの入り口は立派な邸宅の玄関を思わせ、巨大な鏡の前に置かれた石でできた花器の花は週に2回、業者が入れ替える。女性用トイレには、赤ん坊のおむつ交換台のほか、無料で提供される生理用品、スカートの裾がまくれているのを直すための等身大の鏡もある。