【5月9日 AFP】国連(UN)は8日、コンゴ民主共和国では1日平均4600人が家を追われている現状を報告し、同国の非人道的状況に警鐘を鳴らした。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)は、コンゴでは今年3月末までに非難を余儀なくされた人の数が370万人に上っており、2016年の調査開始時点の160万人から2倍以上に増えたことを指摘した。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で報道陣の取材に応じた在コンゴOCHA事務所のレイン・ポールセン(Rein Paulsen)所長は、状況が特に切迫しているのは中部カサイ(Kasai)州で、政府部隊と部族勢力の民兵組織との間で続く一連の衝突により、昨年9月以来127万人が家を追われたと報告した。

 カサイでは昨年8月、部族勢力のカムウィナ・ンサプ(Kamwina Nsapu)首長(別名ジャンピエール・ムパンディ、Jean Pierre Mpandi)が政府部隊によって殺害されたことを受けて衝突が始まった。同首長は、ジョゼフ・カビラ(Joseph Kabila)大統領に対する反対運動を主導していた。

 同地域で暴力の犠牲となり命を落とした人は、昨年9月以来少なくとも400人に上っている。国連によるとこれまでに集団墓地40か所が見つかっているという。また、現地調査を行っていた国連研究員2人が拉致され、銃で撃たれて殺される事件も起きており、うち1人については頭を切断されている。

 避難民の急増によって、同国では約380万人が食糧支援を必要としており、特に子どもたちの状況は深刻だ。

 コンゴには現在、深刻な栄養失調に苦しむ5歳未満の子どもが190万人いると推定されている。緊急に対策を講じなければ、こうした子どもたちは命の危険にさらされるとポールセン氏は指摘する。

 こうした悲惨な状況を考慮して、国連は年内にコンゴに対する8億1250万ドル(約920億円)の支援を呼び掛けているが、ポールセン氏によると、現時点で集まった資金はその20%にも満たないという。(c)AFP