【5月9日 AFP】サリー・イエーツ(Sally Yates)前米司法長官代理は8日、米上院の公聴会で、ロシアとの関係をめぐる疑惑に絡んで辞任したマイケル・フリン(Michael Flynn)前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)について、ロシアから脅迫を受ける恐れがあるとドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領側に警告していたと明らかにした。バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領が昨年11月のトランプ氏の当選直後に、フリン氏を補佐官に起用しないよう直接忠告していたことも分かった。

 フリン氏は駐米ロシア大使との接触に関連して、1月のトランプ政権発足から1か月も経たないうちに辞任に追い込まれた。今回の証言などで、トランプ氏側とロシアをめぐる疑惑に再び注目が集まっている。

 オバマ前政権時代に起用され、トランプ大統領の就任直後に更迭されたイエーツ氏は8日、上院司法委員会(Senate Judiciary Committee)の公聴会に出席。フリン氏はロシアのセルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米大使との接触についてマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領に正直に説明しておらず、ロシア側に弱みを握られる恐れがあると、トランプ政権の発足から6日後にホワイトハウス(White House)に伝えていたと述べた。

 トランプ氏の側近らとロシアの関係をめぐるスキャンダルについて、初めて公の場で語ったイエーツ氏は「フリン氏はロシアに関して弱みがあるとわれわれは考えていた」と説明。「ロシア側もそれを知っているとみられる上、証拠も持っている可能性が高いと考えられることが問題だった。それにより、国家安全保障問題を担当する大統領補佐官がロシア側から脅迫を受ける恐れがあった」と指摘した。

 一方、オバマ前政権の当局者らによると、オバマ氏は昨年11月8日の大統領選の2日後、トランプ氏に対してフリン氏を国家安全保障問題担当の大統領補佐官に起用しないよう自ら強く警告していたという。

 オバマ氏は2014年、国防情報局(DIA)長官だったフリン氏を更迭した。元当局者によると、トランプ政権での起用に反対したのは「DIA長官としての働きぶり」に基づく判断だったという。(c)AFP/Paul HANDLEY