【5月8日 AFP】ドイツ国防省は7日、連邦軍の兵舎2か所でナチス・ドイツ(Nazi)時代の国防軍にまつわる物品が見つかったことから、軍監察官が全施設の査察を命じたと発表した。

 国防省報道官によると「連邦軍監察官は、軍の全施設の査察を実施して(ナチス時代の)国防軍にまつわる物品がないか調べ、見つかった場合は排除するよう命じた」という。

 ドイツではこの2週間で、軍の一部に極右思想への傾倒が確認され、国防関係者の間に衝撃が広がっている。きっかけは4月下旬、フランス北東部ストラスブール(Strasbourg)近郊のイルキルシュグラフェンスタデン(Illkirch-Graffenstaden)にある独仏軍の共同基地に駐屯していたドイツ軍の陸軍中尉(28)が、シリア難民に成り済まして襲撃を実行する計画を立てていたとして逮捕されたことだ。

 この陸軍中尉は以前から極右思想を持っていることを表明していた。逮捕を受け、ウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)独国防相が訪米予定を取りやめてこの駐屯地を視察に訪れたところ、兵舎の休憩室にドイツ国防軍の記念品が堂々と飾られているのが見つかった。

 国防省はナチス時代を象徴する物品の展示を禁止しているが、独南西部にある別の駐屯地でも同様の物品が見つかった。

 スキャンダルの拡大を受け、フォンデアライエン国防相は軍幹部に対し、軍内部におけるあらゆる過激主義の傾向を一切容認しない姿勢を示すよう命令した。(c)AFP