【5月6日 AFP】ソマリア政府は5日、公共事業・国土再建相が会計検査長官の警護官らに誤って射殺されたとされる事件を受けて、会計検査長官を解任した。

 アバス・アブドラヒ・シラジ(Abbas Abdullahi Siraji)公共事業・国土再建相(31)は今月3日、大統領府前で車に乗っていたところを警護官らに射殺された。

 首相府は緊急閣僚会議の後に声明を出し、ヌール・ジメール・ファラー(Nur Jimale Farah)会計検査長官を解任すると発表した。

 ファラー長官は解任を拒否するとともに、内閣は議会の承認がなければ自身を解任することはできないと報道陣に述べた。一方、逮捕された容疑者3人が自身の警護隊の一員であることを認めた。

 声明によると、ファラー長官と警察署長はシラジ氏射殺事件に関して3人を逮捕し、捜査を進めていると内閣に報告していた。

 射殺事件の全貌はいまだ明らかになっていない。

 複数の治安当局者は、ファラー氏の警護官がシラジ国土再建相の車を、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のイスラム過激派組織アルシャバーブ(Al Shabaab)の自動車爆弾ではないかと恐れて発砲したのではないかと示唆している。

 首都モガディシオ(Mogadishu)では多くの政府当局者、富裕層、外国人が武装したボディーガードを連れて車を乗り回しているが、そのようなボディーガードは神経を張り詰めており、むやみに発砲することも多い。

 アルシャバーブの戦闘員らが政府当局者を標的とした爆弾攻撃や暗殺が繰り返されている状況であるため閣僚自ら車を運転することはめったになく、シラジ氏が戦闘員と誤認されてしまった可能性も大いにある。

 シラジ氏はソマリア生まれだが、世界最大級の難民キャンプ、ケニアのダダーブ(Dadaab)で成長し、教育を受けた。昨年議員に当選し、今年2月に閣僚となったばかりだった。

 25年にわたる内戦と無政府状態に苦しむソマリアで、シラジ氏のサクセスストーリーは大勢を鼓舞するものとみられていた。このため同氏の死はソーシャルメディアなどで広く惜しまれている。(c)AFP