【5月6日 AFP】川幅わずか1メートル余りの小川に隔てられた中国東部の2つの村。少なくとも3世紀前から激しくいがみ合ってきた対立関係に、1組のカップルの愛が和解をもたらした。

 福建(Fujian)省の梧山(Wushan)村と月埔(Yuepu)村の人口は合わせて7500人ほど。ここには昔から、川の対岸同士の住民は結婚できないという変わった伝統があった。

「この結婚禁止令の始まりを覚えている人はいない。私たちが唯一知っているのは、約300年前に川の水の使用権をめぐって争いがあったことだ」と、梧山村の共産党書記官のワン・ホンドン(Wang Hongdong)氏はAFPに語った。

 2つの村の争いは呪いを生んだ。川の反対側の人間と結婚すれば不幸になるだけだ、と。村同士の確執は代々受け継がれていった。

 ワン氏によれば、40年ほど前にも墓をめぐってまた争いが起きた。「その後の関係は、特にこの10年間で落ち着き始めた。靴の工場を共同で建設したり、若者たちは仲良くやっていたりした」

 それでも、結婚は禁じられたままだった。約3年前に月埔村の若い女性が梧山村に住む若い男性と恋に落ちるまでは──。

 ワン氏は言う。「呪いを気にして両家は結婚を断じて許さなかった。呪いを本当に信じていたのだ」

 若い2人は反対を押し切って結婚。福建省から1500キロほど離れた別の省へ移ることを余儀なくされた。

 2015年、2人は夫の実家で結婚を祝うために村に戻ってきたが、妻の家族は顔を見せなかった。だが後に夫婦の間にかわいい男の子が2人生まれると、いずれの村の住民も呪いを信じないようになったという。

 和解と結婚禁止令の正式な廃止を記念して、2つの村は今週、地元の仏教団体と共産党の当局者出席の下に式典を開催。約500人が出席した。(c)AFP