【5月6日 AFP】フランス大統領選の選挙運動最終日となった5日、中道派候補エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏と極右派候補マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏が最後の訴えを行った。一方の首都パリ(Paris)近郊ではイスラム過激派とみられる男が逮捕される事件が起き、治安上の懸念を再び浮き彫りにしている。

 7日の決選投票を2日後に控えた同日、マクロンとルペンの両候補はそれぞれ大聖堂を訪問したりインタビューに応じたりして、浮動票の取り込みに励んだ。ここ数日で激化の様相を見せている選挙戦ではマクロン氏が勢いを得ているもようで、最新の世論調査での支持率は62%と、ルペン氏の38%を大きくリードしている。

 マクロン氏は仏ラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)のインタビューで、自身は仏政界のエリートに対する「怒りの声」の代弁者だとするルペン氏の主張に反論。「ルペン氏は何の声でもない。怒りと憎しみを利用している」と非難した。

 ルペン氏が訪問した北部ランス(Reims)の大聖堂では、人種差別に反対する人々が同氏らに物を投げつける出来事があった。同氏はその後、ツイッター(Twitter)で「マクロン氏の支持者らは、象徴的で神聖な場所であるランスの大聖堂でさえも暴力的に行動する。尊厳がない」と投稿した。

 一方、パリの北東に位置するエブルー(Evreux)の空軍基地付近では5日午前、イスラム過激派とみられる男が逮捕される事件が発生。関係筋が匿名を条件にAFPに語ったところによると、警察は複数の銃器に加え、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓う文書、ISの旗数枚を押収。容疑者はイスラム教に改宗した34歳の男で、所有する車が空軍基地の近くで発見された後、逮捕された。

 またパリでは、環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の活動家数人がエッフェル塔(Eiffel Tower)によじ登り、「自由、平等、友愛」そして「#抵抗」と書かれた巨大な横断幕を掲げるという、治安体制の大きな不手際を示す出来事も発生。市・警察当局は、エッフェル塔付近の巡回強化と、ビデオ監視システムの見直しを表明した。(c)AFP/Guy JACKSON/Joshua MELVIN