米家族、デルタ航空便から強制降機 子どもの席譲らず
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【5月5日 AFP】(更新)米デルタ航空(Delta Air Lines)を利用した米国人家族が、オーバーブッキング(過剰予約)が発生した便で子どもの座席を譲ることを拒んだため、降機を強いられたと訴えている。ユナイテッド航空(United Airlines)の強制降機問題などで揺れる航空業界のさらなるイメージ悪化を招きかねない出来事だ。デルタ航空は4日、声明で謝罪した。
今回の問題は、米カリフォルニア(California)州ハンティントンビーチ(Huntington Beach)在住のブライアン・シアー(Brian Schear)さんとその妻子が先月23日、ハワイ(Hawaii)からロサンゼルス(Los Angeles)に戻る便に搭乗した際に起きた。
夫婦がユーチューブ(YouTube)に投稿した動画によれば、客室乗務員は夫婦の2歳の息子が座っている席を空けるよう要求。シアーさんは当初、料金を支払ったとの理由で拒否したものの、最終的には要求を受け入れた。それでも、妻と幼い子ども2人と共に降機を強いられてしまった。
最初に降機を拒否した際、シアーさんは乗務員から「これは連邦法違反で、あなたと妻は収監され、子どもたちは里子に出されることになる」と伝えられていた。このやりとりを撮影した動画は4日、ソーシャルメディア上で拡散した。
航空業界では類似のトラブルが相次いでおり、世間の怒りを呼ぶとともに、関与した航空会社のイメージ悪化につながっている。とりわけ、先月にユナイテッド航空を利用した医師が流血しながら機内から引きずり降ろされた問題は注目を集めた。
シアーさんによれば、一家は同機から降ろされた後、急いでホテルを見つけなければならなかった上、翌日のユナイテッド便に乗るため2000ドル(約22万円)を支払った。譲渡を求められた席はもともと18歳の息子のために購入したものだったが、この息子は既に別の便で帰路についていたという。
動画では、席を空けるようシアーさんを説得するデルタの乗務員が、連邦当局の規定により2歳の子どもは飛行中、親の膝に座らなければならないと説明している。一方、シアーさんは、ハワイ行きの便でも息子はひとりで席に座っていたと反論。デルタ航空はチェックインと座席割り当ての時点でこの状況を把握していたはずだと指摘している。
デルタ航空のウェブサイトには「2歳未満のお子様にはお座席の購入と公認チャイルドシートのご利用をお勧めします」と記載されている。
デルタ航空は4日、AFPの取材に対し「この不幸な経験は遺憾だ」との声明を出し、シアーさん一家に連絡を取って旅行代金の返金と補償金の支払いを申し出たことを明らかにした。声明は、「デルタでは常に、旅行中に起きた問題をお客様と協力して解決することを目指している。今回はそうならなかったことをおわびする」と述べている。(c)AFP