【5月3日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は2日、欧州連合(EU)への加盟交渉で新たな分野に関する協議が開始されないなら、同国が半世紀にわたって続けてきた同交渉を打ち切る可能性もあると述べ、EUをけん制した。

 エルドアン大統領がこの発言をしたのは、出身母体のイスラム系与党・公正発展党(AKP)への正式な復党を経て行った施政方針演説でのこと。

 トルコは1960年代からEUへの加盟を目指してきたが、加盟交渉が始まったのは2005年10月。35の交渉分野のうちこれまでに協議が着手されたのは16分野にとどまっている。

 EU加盟国の中にはオーストリアを中心にトルコの加盟交渉は凍結すべきだとの意見もあるが、EU外相に当たるフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)EU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は4月28日、交渉は停止していないと明言。またドイツのジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)外相も同国政府としては「(トルコの)加盟交渉中止には断固反対する」考えであることを明らかにしている。

 一方、エルドアン大統領はトルコのアンカラ(Ankara)にあるAKP本部で行われた復党式で、ビナリ・ユルドゥルム(Binali Yildirim)首相をはじめとする多数の党上層部から歓迎を受けた。

 エルドアン氏はかつて10年以上にわたりAKPの党首を務めていたが、国家元首は政党への所属を禁じる憲法の規定に従い、大統領に就任した2014年8月に離党を余儀なくされていた。しかし、今年の4月16日に行われた改憲をめぐる国民投票の結果を受けて大統領の政党所属が可能となり、AKPに復党した。

 AKPは、イスラム主義に根差した新党として2001年にエルドアン氏らが結成し、以降、第1党を維持している。4人の子どもがいるエルドアン氏はAKPを「5人目の子ども」と表現したこともあり、復党への望みを公言していた。

 ユルドゥルム首相は今月21日に開かれるAKPの特別会合で、エルドアン氏が再び党首に就任することを明らかにしている。(c)AFP