【5月3日 AFP】国際プロサッカー選手協会連盟(FIFPro)が2日、相手ファンから人種差別を受けて自らピッチを去ったことで警告を受けたサリー・ムンタリ(Sulley Muntari)に対する処分を取り消すよう求めた。

 イタリア・セリエAのデルフィーノ・ペスカーラ1936(Delfino Pescara 1936)に所属するガーナ人MFムンタリは、4月30日に行われたカリアリ(Cagliari Calcio)戦で警告を受ける前から人種差別を受けていたと主張している。

「もうたくさんだ!」とつぶやきながらピッチを後にしたムンタリは、サポーターに対して自身の腕を見せながら「これが僕の色だ。これが僕の色だ」とさけんでいた。

 これまでACミラン(AC Milan)やインテル(Inter Milan)でプレーした32歳のムンタリは、試合終了を待たずに自らピッチを去ったことにより、ダニエレ・ミネッリ(Daniele Minelli)主審から2回目の警告を受けて退場となり、2日にリーグから1試合の出場停止を言い渡された。

 オランダに拠点を構えるFIFProは声明で、「ムンタリのイエローカードは撤回されるべきだと考えている」との見解を示し、「そもそもムンタリは抗議を伝え、その解決を求めるために権利の範囲内でダニエレ・ミネッリ氏に訴えたのだ」と発表した。

 FIFProはリーグに対し、「ムンタリの件をヒアリングし、なぜ対応を誤ったのかを調査して、こういったことが二度と起きないように断固たる姿勢を示すべき」と訴えている。

 FIFProは「これまでムンタリのように試合を放棄し、観客の不適切な行為に対して自ら対処する選手はいなかった」と述べているが、リーグはムンタリの抗議と許可なくピッチを去った「規定に反する振る舞い」により出場停止処分を科している。

 リーグはまた、人種差別行為が認められたのは「約10人、観客の1パーセント以下」だったとして、カリアリに対する処分を見送っている。

 ムンタリはミラン時代の2013年、プロ・パトリア(Pro Patria)との親善試合で、チームメートだったケヴィン・プリンス・ボアテング(Kevin Prince Boateng)が人種差別の標的となり、自らピッチを去る場面を目撃している。

 ボアテングのピッチを去った行為は当時、ソーシャルメディアで大きな支持を得られたものの、国際サッカー連盟(FIFA)はボアテングの行為を看過することはできないとした。(c)AFP