米国ビザにご利益、トランプ氏政策受けインド寺院に参拝者殺到
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【5月1日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任で米国ビザ(査証)の取得がますます難しくなる中、インド南部ハイデラバード(Hyderabad)郊外にある500年の歴史を持つヒンズー教寺院に連日、数百人を超える参拝者が殺到している。
ヒンズー教の神ビシュヌ(Vishnu)の化身バラジ(Balaji)を本尊とするチルクール・バラジ(Chilkur Balaj)寺院は、もともと米国移住のためビザを取得したいインド人の間で「一度参拝すればご利益がある」と評判を呼び、「ビザ寺院」の異名で知られていた。
しかし、寺院関係者によるとドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任以来、参拝者数は増え続けているという。
トランプ大統領は3月、科学者やIT技術者など高度な専門技能を持つ外国人向けの就労ビザ「H-1B」の発給審査を強化する大統領令に署名した。「H-1B」は米国移住を熱望するインド人に大人気のビザだが、トランプ大統領の措置により、技能も給与待遇も最高レベルの申請者しか発給を認められなくなり、インドの人々は不安を募らせている。
AFPの取材に応じたソフトウエア開発者の男性(33)は、最近になって米国ビザの取得が認められた幸運な一人だ。2年間、何回申請しても認められなかったが、チルクール・バラジ寺院を参拝したら「全てがスムーズに行った」「奇跡だ」と話した。「私は迷信深い人間ではないが、神の力が働いたのは間違いない」
チルクール・バラジ寺院には、毎週10万人を超える人々が参拝に訪れる。ビザ取得などさまざまな願いを抱いた人々は、パスポート(旅券)と花一輪を神前に供えた後、経を唱えながら堂内を11往復する。願い事が成就したら、寺院を再訪して堂内を108往復しなければならない。
「パスポートも書類も、大使館も、そして申請者も同じなのに、神に祈って初めてビザが発給された」と同寺院のランガ・ラジャン主任司祭は語った。「全てはバラジの加護によるものだ」 (c)AFP