【4月27日 AFP】ロシアで国家ぐるみのドーピングがまん延していることを暴いた世界反ドーピング機関(WADA)による報告書の筆者、リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が26日、自身の衝撃的な発見に対するWADAと国際オリンピック委員会(IOC)の対応には「いら立ち」を覚えると語った。

 カナダの法律家であるマクラーレン氏は昨年、ロシアでは複数の五輪競技でドーピングが広がっていることを暴露し、同国政府は国家ぐるみで隠ぺいに関与していると厳しく非難していた。

 ドイツの首都ベルリン(Berlin)で開かれた会議に出席したマクラーレン氏は「私の発見に対する国際スポーツ社会の対応については、公に意見するのを我慢してきた。しかし現時点までの状況については、ますますいら立ちが募ってきている。私の願いは、きょうの会議が協力体制や共同の行動計画を増やす初めの一歩になることだ」と語った。

 第2回報告書を昨年12月に公表して以来、国際スポーツ社会の対応やIOCとWADAの意思統一の欠如には「落胆」しているというマクラーレン氏は、「改革する意志があるのか疑問に思うこともある」と嘆いた。

 昨年のリオデジャネイロ五輪で出場禁止処分が科されたロシア陸上選手の状態は今も変わっていない。一方、薬物違反の根絶を目指すIOCは現在、改良された技術を駆使して2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪で採取された検体サンプルの再検査を行っている。(c)AFP