【4月25日 AFP】南アフリカで偶然発見された化石は、これまで最古とされていたものよりさらに12億年古い菌類である可能性が高いとの研究論文が24日、発表された。植物でも動物でもない生物群、菌類の進化の物語を書き換える発見だという。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文によると、菌類であることと多細胞であることの両方が立証されれば、細長い糸状のフィラメントがほうきのように束ねられているこの24億年前の微小な生物は、生命系統樹で人間が属する系統の生物としては、知られている限りで最古の化石標本となる可能性があるという。

 植物、動物、菌類などを含むが、細菌類を含まない生物分類の「上界」である真核生物の痕跡を示す生痕化石については、これまで最古とされていたものは19億年前の化石にとどまる。

 地球自体の年齢は約46億年とされている。

 菌類に似たこの古代生命体は、南アフリカの北ケープ(Northern Cape)州の地下800メートルから発掘された岩石に形成されていた、気体の泡でできたような球状の構造の内部で見つかった。研究チームは、この生命体の年代だけでなくその起源も注目に値すると指摘する。

 菌類が最初に出現したのは陸上だと長年考えられていたが、この新発見の生命体は古代海洋の海底下で、火山岩の割れ目に入り込んで生息・繁栄していた。

 論文の共同執筆者で、豪カーティン大学(Curtin University)のビルガー・ラスムセン(Birger Rasmussen)教授(地質学)は、誰もこの生命体を探そうとはしていなかったと説明した。ラスムセン教授は、南アフリカのオンゲルク(Ongeluk)層と呼ばれる溶岩層で採取された溶岩サンプルの年代を決定するため調査を進めていた。