【4月22日 AFP】米中間の外交に揺さぶられる韓国は時に「クジラ2頭に挟まれたエビのようだ」と表現されるが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が米中首脳会談で習近平(Xi Jinping)国家主席から朝鮮半島(Korean Peninsula)は「かつて中国の一部だった」と聞いたと発言し、韓国の世論はいら立ちを募らせている。

 この発言は、トランプ大統領がフロリダ(Florida)州に所有するリゾート施設「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」に習主席を招いた際に飛び出したという。

 トランプ氏が米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に語ったところによると、両首脳が北朝鮮の核開発問題について話し合っていたとき、習氏は中国と朝鮮の歴史について語り始め「何千年もの間に……多くの戦争もあった。朝鮮は実際、中国の一部だった」と述べたという。

 習氏の正確な発言の詳細や、トランプ氏が正確に発言を引用したかどうかは不明だが、韓国では中国の拡張主義を警戒し、政治家や歴史家、市民らが憤慨している。

 韓国外務省の報道官は「韓国は過去数千年間、中国の一部だったことはないというのが事実であり、これは国際社会でも認められている明白な歴史的事実だ」と反論した。

 また韓国の主要紙、中央日報(Joongang Ilbo)は、韓国人は中国の国家主席に「あぜんとしている」と述べ、「トランプ氏が習氏の言葉を本当に正確に伝えているとすれば、朝鮮人のアイデンティティーに対する重大な挑戦だ」と書いた。

 聯合(Yonhap)ニュースによると、韓国の歴史家や活動家たちは21日、習氏の「ばかげた発言」に抗議するために中国大使館の外で集会を開いた。

 一方、中国外務省の陸慷(Lu Kang)報道局長は、習氏の発言の確認を拒み、「そのことについて朝鮮人は懸念すべきではない」と述べた。(c)AFP/Jung Ha-Won