【4月21日 AFP】イスラム教徒が人口の多数を占めるパキスタンで20代の女3人が、神を冒涜(ぼうとく)したとして訴えられていた50代男性を殺害したと自供した。警察当局が20日、発表した。男性の家族は少数宗派に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)だと非難している。

 当局によると、殺害されたファザル・アッバス(Fazal Abbas)さんは、パキスタンでは少数派のイスラム教シーア派(Shiite)の信者だった。アッバスさんは2004年、神を冒涜したとして訴えられた後に国外に逃亡したが、今年に入って裁判のために帰国し、保釈が認められた。

 アッバスさんのおじ、アズハル・フセイン・シャムシ(Azhar Hussain Shamsi)さんによると、北東部パンジャブ(Punjab)州シアルコット(Sialkot)にあるアッバスさんの自宅で一緒にいたところ、女3人が来訪し、うち1人がバッグから銃を取り出して至近距離からアッバスさんを撃ったという。

 シャムシさんによると撃った女はアフシャンという名で、アッバスさん一家とは顔見知りだったという。また女はイスラム神学校の教師で、この学校は反シーア派のイスラム過激派組織「ラシュカレ・ジャングビ(Lashkar-e-Jhangvi)」とつながりがあるという。

 パキスタンの人口2億人のうち、シーア派は5分の1程度。アッバスさんはシーア派の信者だというだけで根拠のない訴訟沙汰に巻き込まれた被害者だと、シャムシさんは語った。(c)AFP