プラスチックごみの海洋汚染、北極圏でも深刻 調査報告書
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【4月20日 AFP】北極圏に住む人の数は少ないが、その一部海域ではプラスチックごみの汚染が深刻となっている。これらのごみは、大西洋の海流によって運ばれ流れ着いたものだ。調査報告書が19日、発表された。
米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された報告書によると、科学調査目的で世界の海を訪れている仏船籍のスクーナー船「タラ(Tara)号」に搭乗していた研究チームは2013年、グリーンランドの東からスカンディナビア(Scandinavia)の北にかけての海域にプラスチックごみが大量に流れ着いているのを確認したという。
グリーンランドとバレンツ海(Barents Seas)にごみが集まってくる背景には「海洋のコンベヤーベルト」とも呼ばれる、海水の大規模な対流/熱塩循環があり、ここが北大西洋における通り道となっているためだ。
プラスチックごみを運ぶ北大西洋の流れについては、衛星通信システムに対応した漂流ブイ1万7000個を使った調査でも確認されている。
数百トンに上ると推定される同海域のプラスチックごみには、釣り糸やシート状のフィルムのほか、破片や粒子などが含まれている。また、赤道付近の海域でも、同程度のプラスチックごみが浮遊しているのを見ることができるという。
今回の調査結果について報告書は、「プラスチックごみは、いったん海に入ってしまうと、どこに到達するか予測不可能となるため、あらかじめ適切に管理することが重要」と述べている。(c)AFP