パレスチナの酪農一家、牛のふんを発電に利用
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【4月20日 AFP】発電にはさまざまな形態があるが、パレスチナ自治区に暮らすカマル・エブリニさん一家は、他の家庭ではためらうだろう新たな資源を使っている。牛のふんだ。
一家はパレスチナ自治区有数の酪農場で使う電力、さらには一部の一般世帯にも供給される電力を生み出すために牛の排せつ物をリサイクルしている。近所の農家で肥料として利用される以外は、ただ日に当たり腐敗する牛のふんを活用する方法をエブリニさん一家は、海外で知った。
50年間にわたりイスラエル占領下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)でこうしたプロジェクトは初の試み。パレスチナ自治区で再生エネルギーといえばこれまではもっぱら太陽電池パネルによるものだった。ヨルダン川西岸には発電所がなく、消費電力5.3ギガワットのうち90%近くはイスラエルから買っている。
エブリニさん一家が頼りにしたのは、近くにあるヨルダン川西岸南部の主要都市、ヘブロン(Hebron)の工科大学で再生エネルギーを研究するマヘル・マガルサイ(Maher Magalsay)氏だ。同氏は、熱を使って牛のふんからメタンなどバイオガスを生成し、最終的に発電に結び付けるプロジェクトを展開するために、ドイツからエンジニアを招きさらに巨大発電機を取り寄せた。
同氏が誇らしげに見せるのは、後に冷却してエネルギーに転換するための堆肥とバイオガスを貯蔵している2棟な巨大なサイロだ。エブリニさん一家の牛たちが1日に排出するふんは30トンで、毎時380キロワットの発電ができる。牛乳やヨーグルトなどの乳製品をヨルダン西岸とエルサレム(Jerusalem)中に販売しているエブリニさんの酪農場では、もう電気代を支払う必要がなくなっている。それどころか、発電した電気の一部を地元の電力会社に送電してさえいる。(c)AFP/Sarah Benhaida