【4月15日 AFP】米シカゴ(Chicago)のオヘア国際空港(O'Hare International Airport)で、ユナイテッド航空(United Airlines)の旅客機から男性客が引きずり降ろされた問題で、失墜した信頼の回復に同航空が奮闘する中、当時対応に当たった空港の保安担当者が厳しい批判にさらされている。

 空港を運営するシカゴ市当局に対しては、政治家やユナイテッド航空操縦士組合から批判が噴出。問題の保安担当者3人には既に休職処分が科されているが、シカゴ市当局はそもそもなぜ3人が機内に派遣されたのかについて調査している。

 空港で警察官の補佐に当たる保安担当者の3人は、乗客のデービッド・ダオ(David Dao)さんが、別の便での勤務のため移動の必要があったユナイテッド航空の乗務員に座席を譲るのを拒否したことを受け、同機の乗務員によって呼び出された。

 弁護士によると、保安担当者に引きずり降ろされた際に鼻の骨折や脳振とうなどのけがをしたダオさんは、訴訟を起こす構えを示している。

 だが、オヘア国際空港を運営するシカゴ航空局の安全・警備担当責任者のジェフ・レディング(Jeff Redding)氏によると、空港の保安担当者は、こうした乗務員からの要請には対応しないことになっているという。

 レディング氏は13日、シカゴ市議らに対し「顧客サービス関係の問題であれば、(保安担当者は)機内に搭乗する必要はない」と語った。

 空港の保安担当者は、最低限の警察官基準を満たし、警察学校での訓練を受ける必要があるが、警察官とは異なり銃の所持や人々の身柄拘束の権限は持っていない。

 ニューヨーク(New York)地域の主要空港を管轄するニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey)は14日に出した通達で、同社の保安担当者はオーバーブッキング(過剰予約)に伴う乗客の強制降機には関与しないとの方針を示した。(c)AFP/Nova SAFO