【4月14日 AFP】パキスタンの大学で13日、世俗的な考え方を持っていたとされる学生1人に対し、同級生ら何百人もの学生が集団で暴行を加え殺害する事件が発生した。警察と複数の目撃者が明らかにした。

 事件が起きたのは、パキスタンの中でも保守的なことで知られる北西部マルダン(Mardan)にあるアブドゥル・ワリ・カーン大学(Abdul Wali Khan University)。ジャーナリズム専攻の学生、マシャール・カーン(Mashal Khan)さんは服を脱がされて暴行を受けた末、銃で撃たれて学生寮の2階から外に放り投げられたという。

 当時の状況を映した映像には、学生寮の外に放り投げられたカーンさんの体に対し、男数十人が蹴ったり、物を投げつけたりする生々しい様子が映っている。

 ここ数週間、パキスタンではナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)首相やニサル・アリ・カーン(Nisar Ali Khan)内務・麻薬対策相ら政府高官が、イスラム教への冒涜(ぼうとく)を糾弾する姿勢が強まっている。

 保守的なパキスタンでは、イスラム教に対する冒涜は非常に厳しく罰せられ、死刑となる場合もある。またイスラム教を冒涜したとのうわさが広まっただけで、集団リンチや暴力につながることもある。

 警察によると今回の暴行・殺害事件で少なくとも学生11人の身柄が拘束された。大学は無期限で閉鎖され、13日夜の時点で構内は閑散としている。

 事件を捜査している地元警察は「現時点で話せることはない」としているが、AFPの取材に対し、世俗的だったとされるカーンさんの考え方について、複数の学生が大学当局に苦情を訴えていたと述べている。(c)AFP