【4月14日 AFP】土星の衛星で氷に覆われているエンケラドス(Enceladus)は、生命に必要な条件を備えているとみられることが、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機カッシーニ(Cassini)による最新の観測データで明らかになった。NASAが13日、発表した。

 NASAによると、厚い氷の層に覆われた海を持つ小型の衛星エンケラドスの表面にある割れ目から噴出している水蒸気プルーム(水柱)で、カッシーニが水素分子を検出したという。

 水蒸気プルームの存在により、エンケラドス上では岩石質の中心部と氷の下にある海との間で熱水化学反応が起きている可能性が高いと、科学者らは推測していた。

 地球上では、熱水化学反応によって、太陽光が届かない深さの海底にある熱水噴出孔に微生物が生息できる環境が形成されている。

 科学者チームによると、エンケラドスのプルームは98%が水で、他に微量のアンモニア、二酸化炭素、メタンなどの分子が含まれている。これまで「発見が困難」とされていた水素の検出は、エンケラドスが生命を維持できる可能性があることを示している。

 13日に米科学誌「サイエンス(Science)」に発表された最新研究は「微生物系を支えることが可能な化学ポテンシャルの存在を示している」と、論文の主執筆者の一人、ハンター・ウエイト(Hunter Waite)氏は指摘する。「これによりエンケラドスは、生命存在可能な条件を示していることに関して太陽系内でリストの上位にランクされる」

 燃料切れが迫っているカッシーニは現在、NASAが「グランドフィナーレ」と呼ぶミッションの最終段階にあり、土星とその輪の間にある幅2400キロの隙間を飛行している。

 研究者らは、カッシーニの最新の発見を「カッシーニ探査計画の最高の業績となる発見」と呼んでいる。

 NASAの惑星科学部門を統括するジェームズ・グリーン(James Green)氏は「われわれは新境地を開拓している。新たな環境を見つけ出している」と話す。

「われわれは、現在太陽系内で生命を育んでいる可能性のある環境を、これまで誰も実現可能とは思わなかった方法で探している」と、グリーン氏は述べた。(c)AFP