武装解除表明の「バスク祖国と自由」、仏警察に武器引き渡し
このニュースをシェア
【4月9日 AFP】スペイン北部バスク(Basque)地方の分離独立を求め、暴力的な抗争を続けてきた非合法武装組織「バスク祖国と自由(ETA)」は8日、フランス警察に武器の隠匿場所を示したリストを渡した。同組織は7日付の書簡で完全武装解除を行うと表明していた。
フランス政府は「大きなステップだ」と評価した。しかしスペイン政府は激しく反発。マリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相はETAを「テロリスト」と呼び、スペイン政府から友好的な扱いを期待すべきでないと述べ、ETAの犯罪を不問にすることなどあり得ないとの考えを示した。
ETAは今回の完全武装解除により、スペインとフランスの国境地帯にまたがるバスク地方の独立を求めた過去数十年間に及ぶ武装闘争に幕を下ろすと述べた。
フランス内務省によると、同国は8日に行われたETAの武器引き渡しに際し、200人近くの警察官と爆弾処理専門家を動員したという。
同国首都パリ(Paris)の検察当局は、「警察が(ETAに)示された場所に向かったところ、金属製コンテナや袋に入った数十丁の拳銃やライフル、数千発の弾薬、数百キロの爆薬と爆弾の部品、数百個の起爆装置や時限装置が発見された」と声明で述べた。
1959年に設立されたETAは、1968年より爆弾や銃撃による武装攻撃を続け、これまで829人が死亡し、数千人が負傷した。
2011年にETA幹部が次々に逮捕されたことから、同組織は武力闘争を断念すると発表したものの武装解除はしていなかった。
しかしETAは最近になり、同組織の解散と引き換えにスペインとフランスで収監されている約350人の組織員の恩赦や刑務所の環境改善を求めるため、また正体を隠して生活している現組織員のために交渉を試みていた。
ETAの動きに対し、フランスとスペイン両政府はいかなる譲歩も拒否する強硬姿勢を保ち続けている。(c)AFP/Colette LARRABURU