喫煙による世界の死者数、1990年から5%増 研究
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【4月6日 AFP】毎日たばこを吸う人の割合は1990年以来、ほとんどの国で男女ともに減少しているが、その一方で、喫煙者数やたばこ関連死の件数は増加しているとの研究報告書が6日、発表された。
英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された報告書「世界の疾病負荷(GBD)」は、大手たばこメーカーが新たな市場、特に発展途上国で積極的にマーケティングしていくことで、死者数はさらに増加するおそれがあると警鐘を鳴らしている。
報告書は、多くの科学者らが参加してまとめられた。これによると、2015年の毎日たばこを吸う人の割合は男性で4人に1人、女性で20人に1人だった。これは、男性で3人に1人、女性で12人に1人だった25年前と比べて大幅に減少したことになる。
一方、喫煙による死者数は同期間に4.7%増加し、2015年には640万人を超えた。世界人口の増加が原因とみられている。
2015年の毎日たばこを吸う人の総数は9億3000万人以上で、1990年の8億7000万人から7%増加した。
世界の死者のうち、10人に1人が喫煙によって死亡しており、その半数をわずか4か国――中国、インド、米国、ロシア――が占めている。この4か国にインドネシア、バングラデシュ、フィリピン、日本、ブラジル、ドイツを加えた国々が、世界のたばこ消費量の3分の2を占めている。
世界保健機関(WHO)は、サハラ以南のアフリカでたばこを吸う人の数について、2025年までに2010年比で50%増加するとの見通しを示している。
英ノッティンガム大学(University of Nottingham)英国タバコ・酒類研究センター(UK Centre for Tobacco and Alcohol Studies)のジョン・ブリットン(John Britton)氏は同誌コメント欄に「低・中所得国における将来の死者数は莫大なものになるとみられる」と書いた。
WHOは、「たばこは製造者が意図した通りの用法で使用したとしても、大勢の命を奪う唯一の合法ドラッグ」と指摘。禁煙しなければ、毎日たばこを吸う人の半数が早死にすると推定している。(c)AFP/Marlowe HOOD