保護された2匹の子グマが大人気、事態懸念する声も モンテネグロ
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【4月6日 AFP】欧州南東部のバルカン半島にあるモンテネグロで、餓死寸前の野生の子グマ2匹が農家に保護され、この話を聞きつけた多くの人たちが写真を撮るために現地を訪れるなど国民の心をわしづかみにしている。
子グマ2匹は先月、首都ポドゴリツァ(Podgorica)から約80キロの、ボスニア・ヘルツェゴビナの国境に近い山あいの村に住む農家のマーチ・イリンカ・ビゴビッチ(March Ilinka Bigovic)さんに保護された。
環境保護活動家らによると、モンテネグロの山々には50~100頭のヒグマが生息している。一方、国内の狩猟団体は357頭とみている。
子グマ2匹が保護されたニュースは瞬く間に国内に広がり、子グマと一緒に写真を撮るために多くの人たちが現地を訪れた。
しかし、エンジニアで動物愛好家のミルジャン・ミリコビッチ(Miljan Milickovic)さんはこの事態を懸念。このままでは子グマが野生に戻れないほど飼いならされてしまい、何もしなければ動物園かサーカスに行きついてしまうと考えた。
そこで、子グマが野生に帰るための訓練を受ける特別な施設に移れるまでの間、一時的な措置として2匹を自分に預からせてほしいとビゴビッチさんを説得した。
2匹の子グマは現在、ポドゴリツァの北方20キロにあるミリコビッチさんの家族が所有する敷地で、鹿、イノシシ、ラマなどと一緒に過ごしている。
活動家らは保護された子グマを取り扱うことができる施設があるギリシャやルーマニアに移送するための許可取得を急いでいる。
子グマたちはこのような施設で1年~1年半過ごし、山に戻るとみられる。(c)AFP/Olivera NIKOLIC