【4月5日 AFP】米FOXニュース(Fox News)の人気番組で司会を務めるビル・オライリー(Bill O'Reilly)氏からセクハラを受けたと主張した女性らに対し、口外したり提訴したりしないことを条件に長年にわたり多額の口止め料が支払われていたことが米メディアで報じられ、大手企業が相次いで同氏の番組への広告を取りやめている。

 複数の大手自動車メーカーに続き、米保険大手オールステート(Allstate)、フランスの医薬品大手サノフィ(Sanofi)は4日、オライリー氏が司会を務める番組「オライリー・ファクター(The O'Reilly Factor)」への広告を取りやめた。

 事の発端は、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道。同紙はオライリー氏からセクハラを受けたと主張する女性5人に対し、口外や提訴しないことを条件にFOXニュースとオライリー氏が過去15年にわたり計1300万ドル(約14億4000万円)を支払っていたと伝えた。

 このうちの女性2人については以前から知られていたが、ニューヨーク・タイムズは、オライリー氏が他の女性3人に対しセクハラなどをしていたことが新たに分かったと報じている。3人のうち2人は性的嫌がらせを受けたとされ、残り1人はののしるような暴言を吐かれたという。

 番組への広告を取りやめた自動車メーカーは、ドイツのメルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)とBMWの北米部門、韓国の現代(ヒュンダイ)自動車(Hyundai Motor)、トヨタ自動車(Toyota Motor)。

 オライリー・ファクターは、米国で最も多く視聴されているケーブルTVのニュース番組で、保守層に特に人気がある。米広告業界誌「アドウイーク(AdWeek)」によると、2017年初めの平均視聴者数は398万人に上る。

 広告調査会社カンタール・メディア(Kantar Media)によると、2015年1月から2016年9月までにオライリー・ファクターが生み出した広告収入は約2億9700万ドル(約330億円)となっている。(c)AFP/Thomas URBAIN