ユースの試合で親同士が殴り合い、スペインに衝撃広がる
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【4月2日 AFP】スペインでユース選手のサッカーの試合中に親同士が殴り合う醜い映像がとらえられ、審判たちは腹を立てて厳しい罰則を求めている。
当局は、スペインの父の日に当たる3月19日に地中海(Mediterranean Sea)に浮かぶマヨルカ(Mallorca)島で行われた12歳から13歳の選手たちが出場した試合で発生した乱闘騒ぎについて捜査を開始している。
大人たちが互いに叫び、蹴り合ったり殴り合ったりする映像は、ユーチューブ(YouTube)上で10万回以上再生された。その中である女性は、「子どもたちがいるの!」と叫んでいる。
また今年初旬には、グラン・カナリア(Gran Canaria)島のスタジアムで父親同士が殴り合う映像も投稿されていた。国内のスポーツ紙マルカ(Marca)によると、男性一人が病院に搬送されて目の手術を受けたという。
これらの映像は国内で怒りを買い、ユース選手の親たちの振る舞いに対するクラブの責任に注目が集まっている。
マヨルカ島での試合は中止となり、試合を行っていた2クラブは最高1500ユーロ(約18万円)の罰金に直面している。
元審判で、現在はスポーツ界での反暴力についてロビー活動をしているアンヘル・アンドレス・ヒメネス(Angel Andres Jimenez)氏は、ユースの試合で大人たちが前例を作ることは「恐ろしいこと」だと語る。
「若者たちを再教育しなくてはならない。これは骨の折れる仕事だ。彼らが目にしているのは、模範である両親たちの振る舞いなのだから」
親向けのマニュアルを共著しているスポーツ心理学者のダビド・ガルシア(David Garcia)氏は、「多くの親たちはスポーツの中では何もかも許されるという考えを持っている。主たる問題は、親が子どもへの感情移入に欠けているということだ。親たちは子どもにとって何が良いかを考えもせず、自分たちが達成できなかった夢を子どもにかなえてもらいたいと思っている」とコメントしている。
匿名希望の審判は、アマチュアの試合での観客の振る舞いは「ひどい」ものだとし、「子どもたちは親が審判や対戦相手を侮辱したり、脅したりするのを目の当たりにする」と付け加えた。
政府のスポーツ協議会の発表によると、2015-16シーズンにはユースの58戦を含むアマチュアの218試合で暴力事件が発生している。審判たちは、この数字は問題の実態を明かしているわけではないと考えている。
ヒメネス氏は「暴力は侮辱、中傷、脅しから始まる。こういったことは大部分の試合で発生している」とし、匿名の審判は「スペイン人審判が警察を呼ぶのは、彼らが襲われるのではないかと恐怖を抱くからだ」と続けた。
両氏はともに、親たちが口論を始めたらすぐさま罰金を科すべきだと口をそろえている。
政府のスポーツ協議会はユースの試合で親たちが乱闘騒ぎする映像を受け、反暴力の会議を招集している。
しかし毎月違反が罰せられるプロリーグとは違い、地域アマチュアリーグの規則の徹底は場当たり的なものになっている。
各地域はそれぞれに独自の方針を打ち出しており、ムルシア(Murcia)の協会は今年2月に、試合前に親たちが互いにあいさつをする運動を始めている。(c)AFP