【4月1日 AFP】イタリア・セリエA、ナポリ(SSC Napoli)の非情なサポーターが、宿敵ユベントス(Juventus)に移籍したゴンサロ・イグアイン(Gonzalo Higuain)を出迎えるための準備をする中で言い合っていた「反逆者」、「金目当て」、「ユダ(裏切り者)」という言葉は、その中でもまだぬるいものだった。

 イタリア南部の穏やかな港町で敬愛されていたイグアインは、昨季リーグ新記録の36得点をたたき出し、ナポリの欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2016-17)本戦出場に貢献した。

 しかし、ユベントスがナポリに移籍金9000万ユーロ(約103億6000万円)を支払うと、アルゼンチン代表のイグアインは別れも告げずに街を去ったと報じられた。

 ナポリの旧市街でバーを経営している男性ファンは、「この一年間、やつが戻ってくるのを待っていた。彼の去り方や振る舞いは本当に気に入らなかった。ナポリを愛していると言っていたのに金のために去るなんて、金目当ての反逆者だ」とすると、「ユベントスに行くなんて最悪のシナリオだ。彼はどこへでも行けたのに、敵に寝返るなんて。FCバルセロナ(FC Barcelona)に行くためにレアル・マドリード(Real Madrid)を去るようなもので、完全な裏切りだ」と言い放った。

 サン・グレゴーリオ・アルメーノ通り(Via San Gregorio Armeno)に店を構える別の男性ファンも、「イグアインは優れたサッカー選手だが、俺たちにとっては何の価値もない。(ディエゴ・)マラドーナ(Diego Maradona)を見てみろ。彼は心をささげる聖者だ。ナポリの歴史にイグアインは存在しない」と話した。

 地元では、ユベントスのユニホームを着たイグアインの画像の下に下品な言葉が印刷されたトイレットペーパーも作られている。

 本拠地サン・パオロ・スタジアム(San Paolo Stadium)でアナウンサーを務めるダニーレ・ベリーニ(Daniele "Decibel" Bellini)氏は、かつてイグアインがゴールを決めるたびに、ファーストネームの「ゴンサロ」を9回も繰り返して叫ぶのが恒例だった。

「試合開始から最後までブーイングと口笛がやまないだろう。彼は過ちを思い知ることになり、大変な思いをするはずだ」と語ったベリーニ氏は、「マイクを通して彼を侮辱するように頼まれているが、もちろんそんなことはできない」と明かした。

 6万人のナポリファンは、一斉に軽蔑の音を鳴らしながらピッチに登場するイグアインを迎えるだろう。(c)AFP