【3月31日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問は30日、文民政権の発足から1年を迎えたのを受けて国営テレビで演説し、50年以上続いた軍事政権下で荒廃した国家の再建に全力を尽くすと述べて、山積する課題に追われる政権を擁護した。

 スー・チー氏の国民民主連盟(NLD)は、民政移管後初となる総選挙で圧勝して文民政権を発足させた。ミャンマー民主化運動の象徴でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のスー・チー氏は、国家顧問として政権を率いている。

 しかし政権発足からの1年間を見ると、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対する迫害疑惑や期待はずれの経済成長など、山積する問題がスー・チー氏の最重要政策である「平和」と「発展」に暗い影を落としている。

 ミャンマー国民の多くは今もスー・チー氏を聖人のように崇敬しているが、国際社会からはNLD政権に対する批判が出ている。特に、国軍がロヒンギャを弾圧し多数の死傷者を出しているとされる問題では、スー・チー氏が対応に消極的なことに非難が高まっている。

 テレビ演説でスー・チー氏は、「50年以上続いた制度を変えようとしているところだ」と説明。「目標ははっきりと見えており、それに向かって前進している。国民の和解と和平が目標だ」と述べた。

 ミャンマー議会や主要省庁には軍人議員枠があり、今もミャンマー国軍が影響力を持つ。しかし、スー・チー氏は政権発足後、国軍指導部を表立って批判するのを避けている。

 さらに、30日の演説でスー・チー氏は、ロヒンギャ弾圧をめぐって独立調査団の派遣を決めた国連人権理事会(UN Human Rights Council)を非難。「我が国の現状にそぐわない。決定は受け入れられない」と述べた。(c)AFP