観光から食品まで、ハラルで経済振興目指す仏教の国 タイ
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【5月3日 AFP】時間を区切って男女が同時に利用できなくしたプールがあるホテルから豚骨由来のゼラチンではなく海藻からつくったゼリーまで──仏教の国タイはイスラム教の戒律にのっとったハラルでの経済振興を目指し、ムスリム(イスラム教徒)の観光客を受け入れ、同国製品をイスラム圏にアピールしている。
首都バンコク(Bangkok)郊外のイスラム教徒が多く住む地区にある五つ星ホテル、アルメロス(Al Meroz)ホテルの広々としたダイニングホール内では、薄いあごひげを生やした年配の男性がイスラム教の聖典コーランの節を読み上げる中、落ち着かない様子の花婿が花嫁の到着をいまかいまかと待っている。
鮮やかな白のドレスとそれに合わせたヘッドスカーフを身に着けた花嫁が到着すると、花婿ははじけるような笑顔を見せた。
バンコク初の完全な「ハラル」ホテルとなった同ホテルでは、数か月の間にこの式を含めて数十件の結婚式が執り行われた。
タイには以前からパーティーや歓楽街、安酒、トロピカルビーチに引き付けられて、南国の光と熱を求める旅行者や快楽主義者が訪れていた。
しかし観光客の多様化を目指す同国は、地味ながらよく練られた戦略の一環としてイスラム圏の国々からも膨大な数の観光客を呼び込んでいる。
このホテルは、あらゆる面でイスラム教徒に配慮することで差別化を図っている。
酒類を販売せず、最上階のプールとジムの使用時間を男女で分けることから手を付けた。
シーツと枕カバーを特定のやり方で洗濯することからアルコールや動物性脂肪が使われた洗面用品を排除することまで、イスラム教の信仰を実践する人たちのための厳しいチェックリストに従って、ホテル内のすべてのものをイスラム教の教えで許されている(アラビア語でハラル)ものにした。