経済に打撃、交渉難航…EU離脱通告の英、待ち構えるいばらの道
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【3月30日 AFP】「後戻りはできない」──。欧州連合(EU)から離脱する歴史的な手続きを開始した英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相はこう宣言したが、EU加盟諸国からは29日、英国の前途は多難だと警告する声が早速上がった。
EU史上初めてとなる離脱を通告した後、メイ首相は英議会で演説し、与党・保守党の議員らから歓声が上がるなか「歴史的な瞬間だ。もう後戻りはできない」と訴えた。
だがフランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は訪問先のインドネシアで、離脱は英国にとって「経済面で苦痛を伴うに違いない」と厳しい口調で警鐘を鳴らした。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も、離脱交渉と今後の貿易協定の交渉とを並行して進めたいとするメイ首相の要求をはねつけた。
英国はEU単一市場から離脱することで移民の流入を抑制する狙いだが、遅くても2019年3月29日に迎える離脱までに新たな貿易協定を締結することを望んでいる。
しかしメルケル首相は離脱するのが先だとベルリン(Berlin)で述べ、移民問題はもとより英国の拠出金に関する厳しい交渉も先行して進めるべきだとくぎを刺した。
欧州理事会(European Council、EU首脳会議)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)は31日に交渉の指針案を示す見込みだが、他の加盟27か国の首脳が集まって共同歩調を確認するのは4月29日以降になる。
EUの優先事項は、移民やテロ、ポピュリズム(大衆迎合主義)台頭などの危機を背景に最大の加盟国の一つが離脱する状況のなかで、団結を維持していくことにある。(c)AFP/Alice Ritchie with Danny Kemp in Brussels