高校の同級生レイプ事件、米トランプ政権下の移民論争あおる
このニュースをシェア
【3月25日 AFP】米首都ワシントン(Washington D.C.)地域の公立高校で先週起きた性的暴行事件が、女子生徒を襲った男子生徒2人が米国に不法入国した中米出身の移民だったことから、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の政権下で移民をめぐる論争が広がる中、全米の注目を集めている。
通常では、同様の事件が全米規模でニュースのトップで報じられることはない。しかしトランプ政権下の現在は状況が異なり、今回の事件は、米国の国境管理は穴だらけで、米国生まれの米国人を軽視しており、非正規移民が増えれば暴力犯罪も増えるというトランプ大統領の主張を完全にあおるものとなっている。
事件が起きたのは、首都ワシントン郊外にあたるメリーランド(Maryland)州モンゴメリー(Montgomery)郡のロックビル(Rockville)にある公立高校。17歳と18歳の男子生徒2人が授業時間中にトイレで同じクラスの女子生徒(14)をレイプしたとして逮捕された。
事件は今週21日になって、ショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官が「ショッキングで、不穏な恐ろしい」事件だと言及したことで全米的に注目された。スパイサー報道官はさらに「(トランプ)大統領が、不法移民とその取り締まりを重大な問題として扱う理由の一つは、このような悲劇があるからだと思う」と述べ、事件の起きたロックビルは「自治体の政策について考えるべき」だと付け加えた。
伝統的に民主党が強いメリーランド州は法律で、たとえ不法入国した人物だったとしても、5~21歳の住民には全員、学校へ行く権利があると定めている。地元メディアなどによると、男子生徒2人はそれぞれ中米グアテマラとエルサルバドルの出身だった。
トランプ政権はこの事件を政治的な点数稼ぎに利用しようとしているとして批判の声が上がっている。トランプ大統領は度々、犯罪率の増加と移民を結び付けて語るが、そうした主張を裏付ける本格的な研究などはない。(c)AFP/Sébastien BLANC