ドゥテルテ比大統領、麻薬撲滅戦争で戒厳令も 民主主義に懸念
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【3月23日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は23日、麻薬対策などに絡み戒厳令の発令も辞さないと警告したほか、10月に予定される地方行政区4万か所以上の首長選挙を中止する可能性に言及した。超法規的な殺人が横行しているとされる麻薬対策が物議を醸す中、同大統領の下での民主主義のあり方をめぐる懸念に拍車がかかっている。
「私が戒厳令を出せば、麻薬ばかりか一切の問題を始末できる」。訪問先のタイから帰国後、未明に行った記者会見でドゥテルテ氏はこう言い切った。
フィリピン南部で活動するイスラム過激派に言及して「お前らを裁判にかけて、絞首刑にすることを軍に許可する」とも述べ、戒厳令の一環としてテロリストを裁く軍事法廷を開く可能性にも触れた。
フィリピンでは10月に、国内に4万2000余りある「バランガイ」と呼ばれる地方行政区の首長選の実施が予定されている。バランガイは診療所の運営などを管轄する最も小さな行政単位であるため、憲法で3年ごとの実施が定められているこの地方選は同国の民主主義にとって重要な意味を持っている。
しかし、ドゥテルテ氏は「われわれが探しているのはバランガイの指導者を任命する方法だ」と述べ、選挙制から自身が首長を任命する制度に切り替える計画を明らかにした。
その理由については、麻薬の密輸に関わっているバランガイの指導者があまりにも多いからだと説明。「麻薬と結び付いた政治はフィリピン政界の主流にまで広がっている」との持論を展開した。(c)AFP