【3月20日 AFP】アルコール依存症の妙薬とうたわれ、その治療のためにフランスでは既に処方されている筋肉けいれんの治療薬「バクロフェン」について、同国の研究者らがこのほど、アルコール依存症にも実際に効果があることを裏付ける新たな証拠を提示した。

 17日にパリ(Paris)で行われた会議で発表された研究結果によると、バクロフェンを1年にわたり高用量で投与した臨床試験では、アルコール消費量の減少に「好影響」がみられたという。

 仏製薬会社のエティファルム(Ethypharm)は、アルコール依存症治療薬としてのバクロフェンの仏国内での商品化申請を月内に提出するとしている。

 このほど発表されたのは、2012年5月から13年6月にかけて18~65歳の大量飲酒者320人を対象に行われた臨床試験についての報告だ。被験者らは、この薬剤を高用量投与されるグループとプラシーボ(偽薬)を与えられるグループの2つに分けられた。アルコール摂取については控えるようには指示は出されなかった。その結果、飲酒をやめた、もしくは飲酒量が減った被験者は、プラシーボのグループで37%だったのに対し、実際にバクロフェンが投与されたグループでは57%だった。

 また、同日に発表された別の研究結果でも、プラシーボのグループに比べてバクロフェン投与グループでは、大きく飲酒量が減少したと報告されている。

 バクロフェンは筋肉のけいれんの治療のために開発され、その用途で広く使用されているが、フランスの保健当局は2014年、アルコール依存症の治療への使用についても暫定的に承認している。他の国でも、多くの人が処方箋なしでバクロフェンをアルコール依存症の治療に使用しているとみられている。

 バクロフェンは2008年に仏系米国人の循環器専門医オリビエ・アメイセン(Olivier Ameisen)氏が、高用量を使用して自身のアルコール依存症を治療したと著書で明かし注目された。この後で行われた臨床試験では大量飲酒者がかなりの割合で飲酒をやめたり、飲酒量が減ったりしたが、別の試験では矛盾する結果も出ている。(c)AFP