【3月17日 AFP】(更新、写真追加)内戦が続くイエメンの沖合で、船上のソマリア難民らが銃撃を受け、女性と子どもを含む42人が死亡した。当局が17日、発表した。銃撃の主体は不明。

 現地当局によると、紅海(Red Sea)に接し、イスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」が掌握する港湾都市ホデイダ(Hodeida)の沖合で、難民らが小火器による銃撃を受け、同市の港に辛うじてたどり着いたという。

 イエメンで活動する国際移住機関(IOM)によれば、これまでに42人の遺体が収容された。ある港湾当局職員は、ソマリア人の生存者数十人とイエメン人の人身売買業者3人が市内の勾留施設に連行されたと説明。また、負傷者30人以上が病院に搬送されたと伝えられている。

 フーシ派の勢力下にある国営サバ(Saba)通信は、同派と敵対するサウジアラビア主導の連合軍が空からソマリア難民に攻撃を加えたと非難したが、それ以上の詳細は明らかにしていない。

 一方、連合軍の報道官はAFPに対し、同軍はホデイダでの戦闘に参加していなかったとして、事件への関与を否定した。政府側を支援する連合軍は、フーシ派からイエメンの紅海沿岸地域を奪還するため攻勢をかけている。

 国連(UN)の各機関や赤十字国際委員会(ICRC)は事件を非難。ICRCはさらに、速やかな調査の開始を要求している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、船には140人の乗客が搭乗していたとみられる。ICRCは生存者の話として、乗客の多くは「紛争から逃れたソマリアやイエメン出身の難民」だったと伝えている。IOMによると、船はスーダンに向かっていた。

 イエメンでは、イランの支援を受けるフーシ派が2014年9月に首都サヌア(Sanaa)を掌握したが、翌年3月にスンニ派(Sunni)のサウジアラビアが政府側を支援して介入。以降、内戦が激化している。(c)AFP