【3月17日 AFP】(訂正)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、2018会計年度の予算方針を発表した。国防に重点を置き、芸術や科学、海外援助や環境保護予算では大幅減を提案する内容で、既に議会の強い反発を呼んでいる。

 トランプ大統領は大胆な選挙公約を予算に反映させるため、国防費で約1割増となる520億ドル(約5兆9000億円)を加算。埋め合わせとして、公共放送や生命科学分野での多数の組織解体や計画破棄を提案した。中でも削減幅が大きいのが環境保護局(EPA)と国務省で、3分の1前後の削減が提案されている。

 国務省予算が削減されれば、海外援助と国連(UN)機関への分担金が大幅に減らされ、世界中に大きな影響を与える可能性がある。警戒した国連は「突然の支援削減」は長期的な改革努力を損なうとして警鐘を鳴らした。

 米国内では、芸術や人道分野での国家助成が全面的に撤廃され、世界的な研究機関の国立衛生研究所(NIH)への資金援助も60億ドル(約6800億円)近く減らされる。

 これとは別にトランプ氏は、対メキシコ国境での壁建設の初期費用として、来年からの2年間に40億ドル(約4500億円)を拠出する意向も明らかにした。トランプ氏は、壁建設費はメキシコに負担させると繰り返し主張してきている。あるコンサルティング会社は、壁建設には少なくとも150億ドル(約1兆7000億円)かかると試算している。

 トランプ氏が示した大まかな方針は、政治的に大胆な内容であるものの、連邦予算3兆8000億ドル(約430兆円)のごく一部でしかない。連邦予算はその大部分を医療や年金、その他の固定予算が占めている。

 予算方針の内容は今後、議会で大きく修正・具現化され、正式予算の発表は5月ごろになる。よって、予算案は財政方針であると同時に、政治的な意思表明の意味合いも強く、その点は政府も認識している。(c)AFP/Andrew BEATTY