【3月14日 AFP】フランスリーグ・トップ14の強豪、ラシン92(Racing 92)とスタッド・フランセ(Stade Francais)が13日、合併して「スーパークラブ」を作る計画があると発表し、大勢のトップ選手が行き場を失う可能性に見舞われた。

 過去2シーズンのリーグ覇者で、宿敵同士であるラシンとスタッド・フランセが来季から合併する計画があると伝えられると、欧州のラグビー界には大きな衝撃が走った。

 ラグビーの巨大クラブが創設されることにライバルチームから不安の声が上がるなか、不動産王でラシンのオーナーを務めるジャッキー・ロレンツェッティ(Jacky Lorenzetti)氏は、「仏ラグビー界の基準を日々作り上げること」を望んでいたと語った。

 リヨン(Lyon OU)のヤン・ルーベール(Yann Roubert)会長は、「この合併でスーパークラブが創設される」とすると、「この2年間でリーグを制した2チームの才能が合わされば、大きな脅威になる」と警戒した。

 ロレンツェッティ氏はサポーターへの書簡の中で、新チームの指導者で、現在ラシンのコーチを務めるローラン・トラベール(Laurent Travers)氏とローラン・ラビ(Laurent Labit)氏の2人が「決断」しなければならなくなると語った。

 同氏はさらに、「選手は解雇される。スタッドには45人の選手、われわれにも45人の選手がいる。45+45=45だ」とすると、「基準になるのは実績、若さ、そして代表に選出される要素だ」と述べた。

 この合併計画については即座に反発の声が上がっており、スタッド・フランセに所属するフランス代表のFBエリック・ボヌバル(Eric Bonneval)はツイッター(Twitter)で、「2017年3月13日:終了」とつづると、チームメートのLOポール・ガブリヤーガ(Paul Gabrillagues)も「これは合併じゃない。スタッド・フランセはラシンに買収されたんだ。これはうちのチームの死だ」と嘆いた。

 同クラブの選手では、セコー・マカルー(Sekou Macalou)が「こんなことに関わりたくない」と訴えると、仏代表のパスカル・パペ(Pascal Pape)も「この悲しみはとても大きい」とツイートした。

 フランス・ラグビー連盟(FFR)にも今回のニュースに衝撃が走っており、「仏ラグビー界の強豪2チームのうち、1チームがなくなるこの計画を報道で知り、FFRとして衝撃を受けている」とすると、「相談もなしに新クラブの創設計画が持ち上がり、非常に驚いている」と声明で述べた。

 ラシンとスタッド・フランセは、19世紀にフランスにラグビーのプロリーグが発足したときに創設された古豪で、リーグ1年目の1892年はラシンが決勝でスタッド・フランセを下して初代王者に輝き、翌年はスタッド・フランセがリベンジを果たしている。(c)AFP/Pierrick YVON