酸攻撃被害者がファッションショーの主役に 偏見なくしたい
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【3月8日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)で7日、酸を浴びせられる被害に遭った人々が卑劣な攻撃の被害者に対する偏見をなくすために英国の国際NGOアクションエイド(ActionAid)が主催したファッションショーに出演した。
生後間もない頃に酸を浴びせられる被害を受け、顔の形成手術を受けた女子生徒のショナリ・カトゥン(Shonali Khatun)さん(14)は、スーパーモデルからデザイナーに転身した同国出身のビビ・ラッセル(Bibi Russell)さんデザインの服を着て出演。酸攻撃の被害者として初めてショーに出演した15人の先頭を切ってランウェイを歩いた。
カトゥンさんはAFPの取材に対し、「このステージに立てて最高の気分です。勇気づけられました」と話した。
カトゥンさんは、生後17日目に自宅で眠っていたときに顔に酸をかけられた。加害者は、土地をめぐって以前から両親ともめていた近所に住む男だった。カトゥンさんは、顔と腕に負ったやけど治療のために3年近く入院し、8度の手術を受けた。
今は医師を目指しているカトゥンさん。「いつか自分の夢をかなえます。この痛みから強くなることを教わったのです」と語った。
貧困家庭で育ち、ファッション誌「ヴォーグ(VOGUE)」や「ハーパース・バザー(Harper's Bazaar)」のページを飾るスーパーモデルとなったラッセルさんは、このショーをきっかけに酸攻撃の被害から生き抜いた人たちが世の中でもっと受け入れられるようになってほしいと話す。
酸攻撃はバングラデシュでは大きな社会問題となっており、主に地方の女性たちが標的とされている。2000年代よりは激減しているものの、昨年は44件の報告事例があった。
酸攻撃の被害者を支援するNGO「アシッド・サバイバー・ファンデーション(Acid Survivors Foundation)」によると、近年、酸攻撃が減少しているのは、厳罰化によって加害者には死刑が科される可能性があるためだ。
だが保守的なバングラデシュでは、酸攻撃の被害者は外見が変形してしまっていることから、今なお社会から排除され、差別を受けているという。(c)AFP