【3月8日 AFP】黄色のタクシーが事故に遭う確率は、より暗い色のタクシーよりも格段に低いとの研究論文が6日、発表された。

 米科学アカデミー紀要(PNAS、電子版)に掲載された研究論文によると、シンガポールのカナリアイエローのタクシーは、軽度の接触事故や重大な衝突事故に遭う確率が、濃紺色のタクシーより9%低いことが明らかになったという。

 シンガポール国立大学(National University of SingaporeNUS)教授で論文主著者のテック・フア・ホー(Teck-Hua Ho)氏はAFPの取材に対し「黄色いタクシーを使う方が安全なのは、黄色が青い色より目立つからだ」と述べた。

 事故の発生率に差が確認できたのは夜間。その理由はおそらく、街頭の光が色のコントラストを強調するからだろう。論文には「公共の交通車両に使用する色を決める際に考慮されるべき結果だ」と記された。

 しかし、一見すると当然の結果のようにも思えるが、暗い色の車の方がより危険であることを示す科学的証拠はこれまで不十分だったのだという。

 安全と色の関係を探るにあたり、研究者らは、シンガポール最大のタクシー会社のデータを当たった。この会社の車両が明るい色と暗い色の車に分かれていたためだ。研究では、黄色い車両4000台以上と青い車両1万4500台について、3年間にわたる事故記録を比較した。

 運転手の技能に差がないことを確認するため、無作為に選んだタクシー運転手3341人のバックグラウンド・データと職務経歴も分析した。

 結果、運転歴40年の一般的なタクシー運転手では、事故に遭う平均回数が、青色の車両で34回、黄色の車両で31回となった。

 1907年、米シカゴ(Chicago)のイエローキャブ・カンパニー(Yellow Cab Company)が行った利用客から一番目立つ車両の色の調査結果を受け、黄色いタクシーは世界的なトレンドとなった。(c)AFP/Marlowe HOOD