オバマケア代替法案、共和党内からも反発 トランプ大統領に逆風
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【3月8日 AFP】米共和党が発表した医療保険制度改革(通称オバマケア、Obamacare)代替法案をめぐり、党内の一部から現行制度とほぼ同じ内容だと批判する声が高まっている。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は法案を支持しているが、議会での審議には曲折がありそうだ。
「オバマケア・ライト(簡易版)だ。こんなものは議会を通過しない」。共和党の保守強硬派ランド・ポール(Rand Paul)上院議員は、FOXニュース(Fox News)の番組で法案をこき下ろした。その後の記者会見では、共和党は「(オバマケアの)廃止では一致しているが、代替に関しては分裂している」と指摘した。
下院共和党は6日、オバマケアを廃止して別の制度に置き換える法案を発表。しかし党内の保守強硬派の一部は、代替法案では保険購入者向けの「税額控除」という形で、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権下で成立した医療保険制度改革法(Affordable Care Act)の政府補助金が実質的に維持されていると反発。保守的な財政指針に反すると批判している。
税額控除の導入に反対しているマイク・リー(Mike Lee)上院議員は「コストがどのくらいかかるのか分からないし、この法案のおかげで国民が保険を購入しやすくなるのかも不明だ」と語った。
トランプ大統領はホワイトハウス(White House)に下院共和党の議員20人余りを招き、「誇らしい気持ちで」法案を支持すると表明。議会がオバマケア廃止を「迅速に」決議するよう期待していると述べている。
共和党は上下両院で多数派を占めるが、特に上院の勢力は100議席中52議席。数人の造反者が出ただけで法案は否決に追い込まれる。
法案を中心になって取りまとめたポール・ライアン(Paul Ryan)下院議長は「この法案の提出時には(下院で定数435の過半数に当たる)218人の勢力がある」と述べ、党内分裂が法案成立にもたらす影響への懸念の打ち消しに努めた。(c)AFP/Michael Mathes