【3月7日 AFP】米国の政治ドラマの予告編で、架空のフィリピンの大統領が米国務長官の女性に言い寄る場面が放映され、在米フィリピン大使館は7日、内容に「強く抗議」する声明を発表した。

 政治ドラマ「マダム・セクレタリー(Madam Secretary)」最新回の予告編では、「フィリピンの非常識な新大統領」が主人公の米国務長官役の女性に言い寄って顔を殴られ、鼻から血を出している場面が使われている。そして国務長官はせりふで「重要な地域協定を守る代わりに、一国のトップをやっつけた」と述べている。

 これを受け、在米フィリピン大使館は声明を発表し、このドラマを制作する米CBS放送に対し、早急に「必要な是正措置を取るよう」文書で要求したことを明らかにした。同大使館は声明で「われわれの国家元首に対する非常にネガティブな描写は、フィリピン大統領府の権威を疑っている上に、わが国の外交のかじ取りをも侮辱するものだ」と批判している。

 このドラマの予告編に登場するフィリピン大統領は架空の名前だが、フィリピン大使館は最近の出来事を反映したものだと指摘している。

 実際のフィリピンの現大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏はこれまで性差別的または侮辱的と受け取られる発言を行い、物議を醸してきた。

 昨年の大統領選の選挙戦中には、過去に起きた刑務所の暴動で「美しい」オーストラリア人修道女がレイプされ殺害された事件について、ドゥテルテ氏が自分もレイプしたかったと語り、在フィリピンの豪米両大使らが批判したこともあった。

 またドゥテルテ氏は選挙遊説で2人の愛人がいることを自慢した上で、2人は安い宿泊施設に住まわせ、性交渉するときには時間貸しのホテルに連れていくため、納税者の負担にはなっていないと語っていた。(c)AFP