【3月6日 AFP】ノルウェー政府が先週、オオカミの駆除の範囲を拡大する方針を発表し、絶滅危惧種の保護を訴える環境活動家らが抗議の声を上げている。

 農業関係者や議会の圧力を受け、ビダル・ヘルゲセン(Vidar Helgesen)気候・環境相はオオカミ駆除の法的な適用範囲を公式に認められている生息地まで拡大する改定案を提起した。

 これまではヒツジやその他の家畜を襲う「可能性がある厄介な存在」とされる捕食動物に限り、駆除が認められていた。改正案ではこの条件について、人間の特定の活動を妨げるオオカミの駆除の許可にまで範囲を拡大するという。

 捕食動物を監視する同国の機関「Rovdata」が昨年冬に調査した結果によると、ノルウェーで絶滅一歩手前の「近絶滅種」とされているオオカミは現在、同国内に65~68匹生息している。またスウェーデンと国境を接する地域でも、少なくとも25匹のオオカミが確認されているという。

 ヘルゲセン気候・環境相はオスロ(Oslo)での記者会見で、駆除されるオオカミの数について明確な数字は答えられないと述べ、「少数の処分を可能にする決定だが、『少数』をどう捉えるかについては何とも言えない」と語った。

 世界自然保護基金(WWF)ノルウェー支部の支部長を務めるニーナ・イェンセン(Nina Jensen)氏は「法を改定して絶滅危惧種の動物をこれ以上撃ち殺すというのはもってのほかであり、環境に配慮する国とされているノルウェーではなおさらだ」と非難する声明を発表した。(c)AFP