【3月6日 AFP】アナ・オバリオ(Ana Obarrio)さんのテニス選手になるという夢は、1949年に夫の反対を受けて中断を余儀なくされた。

 その後の20年は10人の子どもを育て上げることに専念したが、御年83歳のアルゼンチンのおばあちゃんは今、自身の夢を再び追いかけている。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)にあるスポーツクラブで、激しい日差しを浴びながら腰を下ろしたオバリオさんは、AFPに対し「勝負が大好き。勝つことを愛しているの」と口を開いた。

 AFPとのインタビューに臨んだオバリオさんは、直前に行われたシニアマスターズ大会の80歳以上の部で優勝を果たしたばかりだった。

■夫の反対で一時は断念

 テニスへの愛情で家族をも楽しませているオバリオさんは、幼少期に初めてラケットを手に取った。ジュニア時代には大会優勝も経験したが、1940年代後半におけるアルゼンチンの道徳観に打ち勝つことはできなかった。

 18歳の若さで結婚したことで、その直後には国際大会の大舞台でプレーする機会を断念したオバリオさんは、「夫は私が他の男性とミックスダブルスをするのが気に食わなかった…。それ以降は一度もプレーしていないわ」と当時を振り返る。

「後悔はない。もう一度同じ道を選ぶと思う。最大の喜びは子どもたちであり、テニスは二の次だから」

 オバリオさんはその後、40代になってから再び友人たちとのプレーを再開。60代で夫を亡くすと本格的にテニスを再開した。