【3月6日 AFP】大統領権限を強化するトルコの憲法改正をめぐり、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は5日、国民投票に向けて賛成派がドイツで計画していた集会が地元当局に阻止されたことに反発し、今回の対応をナチス・ドイツ(Nazi)になぞらえて激しく非難した。

 トルコでは改憲の是非をめぐる国民投票が4月16日に行われる。トルコの閣僚はドイツ国内の数か所で集会を計画していたが、地元当局は治安上の懸念を理由に開催を禁じた。

 エルドアン大統領はイスタンブール(Istanbul)で開かれた女性らの集会で「ドイツよ、あなたたちは民主主義にはほど遠い」と批判。「あなたたちがしていることはナチス時代の過去にしたことと変わらない。ドイツはずいぶん前に(ナチスと)決別したと思っていたが、われわれは間違っていたようだ」と続けた。

 これに先立ち、集会の禁止に激怒したトルコ政府は、ドイツ政府が改憲反対派の側に立っているとしてドイツの駐トルコ大使を外務省に呼んで抗議。ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相がトルコのビナリ・ユルドゥルム(Binali Yildirim)首相に電話して問題の鎮静化を図る事態となっていた。

 ドイツ国内に住むトルコ系住民は約300万人と本国以外では最多。1960~70年代に「ゲストワーカー(外国人出稼ぎ労働者)」制度の下で大量に移り住んだ結果だ。

 国民投票は賛成が多数を占めるとエルドアン大統領の任期を2029年まで認めることになるため、同大統領への実質的な信任投票と受け止められている。(c)AFP/Fulya OZERKAN