【3月5日 AFP】ボクシング、世界ヘビー級12回戦が4日、英ロンドン(London)のO2アリーナ(O2 Arena)で行われ、トニー・ベリュー(Tony Bellew、英国)がデビッド・ヘイ(David Haye、英国)から11回TKO勝ちを収めた。

 WBCクルーザー級王者で、階級を一つ上げていたベリューは、ヘイがアキレスけんを負傷したと思われる6回に劇的な転換点を迎えた一戦を制した。プロモーターを務めるエディー・ハーン(Eddie Hearn)氏はこの勝利を受け、ベリューがヘビー級王者のデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)やジョセフ・パーカー(Joseph Parker、ニュージーランド)とも争えることを示したとの考えを明かしている。

 ヘイに2004年以来となるKOでの通算3度目となる黒星を付けた番狂わせを受け、ベリューにはさまざまな選択肢が広がっている。

 ハーン氏は、今後ヘビー級に主戦場を移すベリューが、WBC王者のワイルダーや5月6日にヒューイー・フューリー(Hughie Fury、英国)との対戦を控えるWBO王者のパーカーと、英本国での対戦を組めると強く考えている。

 試合後にハーン氏は、「彼は世界でも屈指のヘビー級選手を倒した。そうしたところでクルーザー級に戻るのか、デオンテイ・ワイルダーやジョセフ・パーカーと戦うのか、どちらを望むだろう?」と語った。

「ワイルダーかパーカーを英国に引っ張ってこられると考えている。世界屈指のヘビー級選手を倒したのだから、私が思う限り勝ち目はある」

 一方で34歳のベリューは、応援しているイングランド・プレミアリーグのエバートン(Everton)の本拠地グディソン・パーク(Goddison Park)がある英リバプール(Liverpool)でのヘイとの再戦を含めた次戦の可能性について、まだ決めかねていると明かした。

 クルーザー級にすぐさま復帰することを否定したベリューは、「月曜日(6日)の朝に陣営とともに判断するつもりだが、次戦はこちらが思うようにやらせてもらう。(この日は)彼(ヘイ)の裏庭にやって来たのだから、今度は来てもらおうじゃないか」と語った。

 6回以降のヘイは負傷した右足をひきずり、簡単にベリューの標的となった。情け容赦のないベリューは7回にダウンを奪うと、11回にはヘイをリングの外へロープの間から押し出した。これを受け、ヘイのトレーナーのシェーン・マッギーガン(Shane McGuigan)はタオルを投げ入れた。ヘイは試合後、右足首の治療のために病院に向かった。

「ヘビー級最高の一撃をもおれには利かなかった。試合が終わる前にデビッドに『もう止めろ』と言った。俺は誰も傷つけに来たわけじゃないからね。シェーン・マッギーガンの方を向いて『止めろ』と言ったんだ」と、ベリューは付け加えている。

 一方でヘイは、「彼があれほど打たれ強く、耐える力があるとは予想していなかった。今夜は断然ベリューの方が優れたファイターだった。自分はより才能に恵まれているとは思うが、今夜は彼の方が強い気持ちを持っていた」と語り、「彼のなすがままだった。もう自分の世界タイトルは考えられない」と続けた。(c)AFP