【3月5日 AFP】フィリピン軍は5日、イスラム過激派組織「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」が斬首したドイツ人男性の遺体を発見し、収容したと明らかにした。

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓い、同国南部で身代金目的の拉致を行うアブサヤフは、人質としていたユルゲン・カントナー(Jurgen Kantner)さん(70)の命と引き換えに3000万ペソ(約6800万円)の身代金を要求していたが、要求が受け入れられなかったためにカントナーさんを殺害した。

 フィリピン軍当局によると、同国海兵隊が4日夕方、首都マニラ(Manila)から南に1000キロ以上離れたアブサヤフの拠点スールー(Sulu)諸島でアブサヤフ戦闘員に斬首されたカントナーさんの遺体を発見したという。

 同国軍のエドガルド・アレバロ(Edgard Arevalo)報道官は「フィリピン軍はこの被害者にふさわしい立派な埋葬ができるよう、遺体を祖国に送り届けるための努力を続けている」と語った。

 昨年11月7日、カントナーさんのヨット「ロックオール(Rockall)」号がフィリピン南部沖を漂流しているのが発見され、船内から同乗していた女性のザビーネ・メルツ(Sabine Merz)さんの射殺体が見つかった。アブサヤフはカントナーさん誘拐の犯行声明を出した。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は先月28日、同国軍はアブサヤフ掃討作戦を強化していたがカントナーさん救出に失敗したことについて謝罪した。

 国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」が拠出した資金で結成されたアブサヤフは、過去数十年間、身代金目的で外国人や地元住民の誘拐を行ってきており、現在でも少なくとも19人の外国人と6人のフィリピン人が人質に取られているとみられている。(c)AFP