■透明性高い反面、欠点も

 スウェーデンのある企業は、わずか数ユーロの料金で、ある個人の銀行ローンの有無や過去に未払いの請求書がないかなど、ほぼすべての情報を提供している。

 フィンランド人にとっては、納税は誇りの問題だ。人気モバイルゲーム「クラッシュ・オブ・クランズ(Clash of Clans)」を開発したスーパーセル(Supercell)のイルッカ・パーナネン(Ilkka Paananen)最高経営責任者(CEO)は2013年に5410万ユーロ(約65億円)の税金を払い、人々からの尊敬を得た。

 ノルウェーの制度には欠点もいくつかある。コソコソ探られる可能性だ。特にしばらくの間は、オンラインでの検索が匿名で可能だったために、他人の納税記録の閲覧が問題となった。

 ノルウェーのメディアは、親の収入の高い低いによって子どもが学校でからかわれるケースが複数あったと報じている。逮捕された住居侵入、窃盗の容疑者らが、被害者の税金のデータを所持していたという事件もあったという。

 また納税者協会のロルフ・ロゼ(Rolf Lothe)氏は、「車などである通りを走るとその通りの住民たちの資産が表示されるアプリや、フェイスブック(Facebook)の連絡先に入っている人たちの資産が自動的に表示されるアプリまであった」と嘆く。

 その結果、2014年から匿名検索はできなくなった。さらに、自分の税金の情報が閲覧された場合は、誰に見られたのかも簡単に調べられるようになった。

 こうした制限が課されて以降、検索数は激減した。2013年10月から2014年10月までの検索数はノルウェーの人口の3倍を超える1670万件だったのに対し、2015年10月~2016年10月はわずか150万件だった。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES