【3月3日 AFP】都市の騒音公害と難聴の間には密接な関係があることが、それぞれに関する世界の大都市50のランキング調査で3日、明らかにされた。

 研究者らによると、中国の広東(Guangdong)、インドのニューデリー(New Delhi)、エジプトのカイロ(Cairo)、トルコのインスタンブール(Istanbul)など、高デシベルの都市地域は、聴力低下のランキングでも上位に挙がった。

 一方、スイスのチューリヒ(Zurich)、オーストリアのウィーン(Vienna)、ノルウェーのオスロ(Oslo)、ドイツのミュンヘン(Munich)など、騒音公害が少ない都市は聴力低下の少ない一群だった。

 難聴は感染症や遺伝性疾患、早産、薬の服用に起因する場合もあり、都市生活の絶え間ない喧騒が難聴の主原因であることが、この統計的関連性によって示されたわけでは必ずしもない。また、この調査結果は予備段階であり、論文審査のある専門誌に提出されたものではない。

 だが、携帯電話を使って実施された聴覚テストのデータ20万人分を収集したドイツ企業、ミミ・ヒアリング・テクノロジー(Mimi Hearing Technologies)のヘンリク・マチス(Henrik Matthies)取締役は、「これは揺るぎない結果だ」と述べている。

 同社と独ベルリン(Berlin)のシャリテ大学病院(Charite)の研究員らは、2つの異なるデータベースを構築して両者の関連性を探索した。

 前者は世界保健機関(WHO)とノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)からの情報を組み合わせ、世界の都市における騒音公害ランキングを作成した。

 このランキングの中で、スウェーデンのストックホルム(Stockholm)、韓国のソウル(Seoul)、オランダのアムステルダム(Amsterdam)、ドイツのシュツットガルト(Stuttgart)なども騒音が少ない方にランクされ、逆に中国の上海(Shanghai)、香港(Hong Kong)、スペインのバルセロナ(Barcelona)はうるさい都市の上位にランクされた。欧州で人口密度の最も高い都市の一つ、フランスのパリ(Paris)は、騒音都市として3番目にランクされた。

 他方、聴力損失に関する都市ランキングは、ミミ・ヒアリング・テクノロジーの携帯電話による聴力検査から導き出された。この検査で回答者が知らせたのは年齢と性別だ。回答者がいる都市は位置情報技術により正確に特定され、結果は年齢ごとの聴力基準に照らして測定された。すると騒音ランキングで上位の都市の住民は、静けさで上位の都市の住民と比べ、聴力損失で平均10歳分「高齢」という結果が出た。

 騒音と難聴に関するそれぞれの都市ランキングを2つ並べると著しい相似があり、偶然の一致以上の関連を示唆している。(c)AFP/Marlowe HOOD