【3月2日 AFP】英国で、4年間に500匹近い動物を死なせた動物園が閉鎖の危機に直面している。1日に発表された報告書から、動物たちの死の背景に栄養不足や過密状態での飼育、低体温などがあったことが分かった。

 調査チームの報告書によると、問題があったとされるのはイングランド(England)北西部カンブリア(Cumbria)州にあるサウスレークス・サファリ動物園(South Lakes Safari Zoo)。過去4年間に486匹の動物が死んでおり、責任の大半は所有者のデービッド・ジル(David Gill)氏にあるという。

 報告書は、動物園の環境を「ぞっとする」と表現。獣医師による健康管理状況や、清潔度、害虫駆除の水準が非常に低く、十分な餌も与えていないなどの問題点を指摘した上で、ジル氏を動物福祉法違反で訴追するべきだと結論付けている。

 この動物園では昨年、1600匹以上の動物を飼育していたが、うち123匹が死んだ。その中には倒れた翌日に安楽死させられたキリンも含まれるが、解剖結果からは栄養不足の疑いが指摘されている。

 また、ライオンの赤ちゃん6匹も安楽死させられたが、その理由は、十分な飼育スペースが確保できないというものだったという。報告書には6匹とも「健康で、悪いところは何もなかった」と記されている。

 調査に応じた飼育員たちは、動物たちの死骸を処分したことを知らされた際、一切口外しないよう言われていたと証言している。

 サウスレークス・サファリ動物園では2013年に女性飼育員がスマトラトラに襲われて死亡する事件が起きており、動物園側に昨年6月、健康・安全面の対策を怠ったとして25万5000ポンド(約3500万円)の罰金刑が言い渡されていた。(c)AFP