リオのカーニバルの光と影 会場付近には悪臭漂う水路と廃虚
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【3月1日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のサンボドロモ(Sambodromo)で開催されているカーニバルのパレードでは、ダンサーたちの美しい肉体と夢のような衣装に魅了されるが、主催者らが地上最大のショーと呼んでいるこの大イベントの準備が進められるのは、ふたのない下水溝と隣り合わせの不潔な通りだ。
リオデジャネイロにあるサンバ専用の特設スタジアムで起きているカーニバルと、そのすぐ外の現実とのギャップは、複雑で、そして往々にして悲劇的なブラジルの矛盾そのものを表している。
ステージのランウェイでは、スパンコールや羽根、Tバックを身に着けた大勢のダンサーや、重力を無視したような巨大な山車、華やかなライトの中でオイルを塗って照り輝く肉体が川の流れをつくっていた。
だがほんの数分前までダンサーたちが立っていた場所は、不潔で薄暗い大通り、アベニーダ・プレシデンテ・バルガス(Avenida Presidente Vargas)だ。この大通りは、市内で使用されなくなった多くの水路と並行しているが、水路は未処理の下水や汚水が流れ込み、よどんでいる。
アベニーダ・プレシデンテ・バルガスにはパレードの前、サンバチームごとに約3500人のダンサーが集まる。山車の組み立てが終わると、衣装とメーキャップを整えたダンサーと打楽器隊は所定の位置に整列する。普段の大通りは殺風景で、落書きだらけだ。かつて大学病院だった大きな建物は廃虚となり、入り口の色あせた看板には「地元社会に奉仕します」という文字が残っている。
だがカーニバル当日、通りは一時的に様変わりし、奇抜な衣装を着た人々でにぎわい、陽気な音楽で沸き立つ。水路と簡易トイレ、尿とビールが大量に流れ込んだ排水溝の臭いがなければ、現実を一瞬忘れてしまいそうなほどだ。
リオデジャネイロ市当局の試算では、カーニバルによる特別歳入は約10億ドル(約1100億円)。しかし、このお金がパレードの一時的な楽屋として使用されるサンボドロモの施設や会場周辺地区の下水道の敷設に回されていないことは明白だ。