アカデミー賞候補作「ホワイト・ヘルメット」、シリア人隊員は授賞式を欠席
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【2月26日 AFP】(写真追加)第89回アカデミー賞(Academy Awards)の短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『ホワイト・ヘルメット-シリアの民間防衛隊(The White Helmets)』は内戦下のシリアにおける市民ボランティアの救助隊を描いたドキュメンタリー映画だ。しかし米ハリウッド(Hollywood)で行われる授賞式にホワイト・ヘルメットの隊員たちは出席しない。シリアでの空爆が激しさを増していることと、パスポートを拒否されたことが理由だという。
当初、26日夜(日本時間27日午前)の授賞式にはホワイト・ヘルメットからラエド・サレハ(Raed Saleh)氏とハレド・ハティブ(Khaled al-Khatib)氏が出席する予定だった。だがハティブ氏は25日、トルコのイスタンブール(Istanbul)からツイッター(Twitter)に投稿し「3日間空港で待機していたが、2017年の授賞式には行けなくなった。米国の査証(ビザ)は持っている。でもパスポートを受け付けてもらえなかった。残念だが、ここには大切な仕事がある」と授賞式欠席の理由を説明した。
米税関国境警備局(US Customs and Border Protection)のマイケル・フリエル(Michael Friel)報道官は、「米国に渡航する個人は有効な書類を所持していることが必要だ」と述べるにとどめ、詳しいコメントは避けた。
これに先立ちサレハ氏はAFPの取材に、シリアではダマスカス(Damascus)、ダルアー(Daraa)、ホムス(Homs)などの県で政府軍が攻勢を強めていてホワイト・ヘルメットの任務が激増していることから授賞式には出られないと語っていた。救援活動や救急車両の手配など、現場にはやるべきことが山積しているという。
映画で撮影の大半を担ったハティブ氏も、ビザは取得しているが、サレハ氏と同じ理由で米国への渡航を取りやめると語った。
サレハ氏とハティブ氏は以前から、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が先月末に出した大統領令の影響で授賞式出席が不可能となるのではと懸念していた。大統領令はシリアなどイスラム圏7か国出身者らの米国入国を90日間禁止する内容だが、米連邦控訴裁判所がこの大統領令の一時差し止めを命じ、2人は2月18日に米国入国ビザを取得していた。(c)AFP