【2月25日 AFP】スウェーデンの少数左派政権を率いるステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相は24日、ここ数年受け入れてきた難民も含め現在国内にいる失業者にもっと雇用を提供するために、労働目的の移住を抑制する方針を打ち出した。

 ロベーン首相は首都ストックホルム(Stockholm)で記者団に対し「教育をほとんど、あるいは全く受けていなくてもできる仕事はまず、すでにわが国の中にいる失業者で補充するようになる」と述べた。

 スウェーデンは昨年、欧州連合(EU)圏外から来た1万2000人以上に労働許可を与えた。この中には単純労働者約4000人が含まれる。ロベーン首相は「難民として到着した人々の中に、皿洗いやレストラン従業員といった仕事をできる人々がいるのに、そうした仕事での労働移住を受け入れるのは状況にそぐわない。働ける人は誰でも働けるようにすることを第一に優先にしたい」と述べた。

 ロベーン首相は自らが率いる社会民主労働党(SAP)の4月の党大会に向け、2018年9月の総選挙への足固めとなる綱領を発表した際にこの発言を行った。さらに同首相は、国内求人数10万件に対し失業者は約30万人おり、従って労働移住は技能労働者が不足している職業のみに限定すべきだと語った。

 スウェーデン統計局(Statistics Sweden)の2016年のデータによれば、同国では15~29歳の約4%が失業しているか、学校に通っていない。

 一方、SAPは緑の党(Greens Party)と少数連立政権を組んでいるが、緑の党はこの綱領に難色を示しており、18年の総選挙前にスウェーデン政府が労働目的の移住を制限する可能性は低いと思われる。

 SAPは伝統的に労働者階級による広範な支持基盤をもっており、ロベーン首相の発言は、移民排斥を打ち出している極右政党のスウェーデン民主党(Sweden Democrats)に有権者が流れるのをけん制する狙いがあるとみられている。

 公共放送スウェーデン・テレビ(SVT)が1月23日から2月19日までに実施した世論調査によると、スウェーデン民主党の支持率はSAP、保守系野党・穏健党(Moderates Party)に次いで3位となっている。(c)AFP